ITF国際組織

1、流派
 空手にも伝統空手と呼ばれる松涛館流、剛柔流、糸東流、和道流と4大流派があり、
更にフルコンタクト空手と言われる極真系の流派があるのと同様に、現在、世界に
テコンドーと言われる武道には2つの国際組織が存在します。
 統括する国際的な団体はITF(国際テコンドー連盟)、WTF(世界テコンドー連盟)
とであり、それぞれ技術、道衣、競技ルール等にいくつかの差異があります。

2、なぜ2つの国際組織が存在するのか?
 1972年に崔総裁のカナダへの移転により、テコンドーの本部をカナダに移しITFが
発足致しました。
 この時、テコンドーの組織、人員のカナダへの移動により韓国内では、組織防衛の
為にWTFが設立されました。 この時からITFテコンドーはカナダ(トロント)を拠点に、
WTFテコンドーは韓国(ソウル)を拠点に2つのテコンドーという二極体制が確立する
こととなったのです。
ITFとWTFは当時のテコンドーの技術を独自に発展させ、それぞれが世界に向けて
テコンドーの普及に努めてきました。

3、ITFとWTFの違い
 ITFはテコンドーの持つ武道的な性質を強く残して進化し、一方でWTFは正式な
オリンピック競技として認められる等、スポーツ的な性質を重視して進化してきたと
言われます。
 ITFはその開発ベースとなった空手に近く実践性が高く、WTFは洗練されたスピード感
と跳躍感のある足技を特徴としていると言われます。
 どちらも足技の巧みさにおいては他の武道、格闘技を凌駕する「足技のボクシング」
の異名に相応しいスタイルを身上としています。

4、国際組織を越えて
 WTFは韓国系・ITFは北朝鮮系、と呼ばれた時期も以前にありましたが、
これは史実的に解釈が異なります。
1972年にカナダに拠点が移されたITFが世界中の国々にテコンドーを普及させる活動
の中で多くの国々の内の一国として1980年に北朝鮮にテコンドーを紹介した一方で、
朝鮮戦争以後から休戦状態にあった韓国から北朝鮮へWTFのテコンドーを伝える事に
政治的要因を含み多くの障害を抱えていた為、結果的に北朝鮮に伝わったテコンドー
はITFのみであったという事でした。
いずれ、韓国、北朝鮮間の緊張が緩和され、文化交流が活発になってくれば他の多く
の国々同様に北朝鮮にもWTFテコンドーが普及してくるのではないでしょうか。
 また、反対に韓国にITFが2002年11月に32年ぶりに再結成され、WTFと交流を深め
ながら共に発展してゆこうという両団体の意思確認が行われました。
 この時、韓国内ではテコンドー創始者直系のテコンドーが祖国への帰還を果たした
として大きく取り上げられました。
 現在では韓国内でもITFテコンドーは、既存のWTFテコンドーと共に急速に躍進してい
ます。
 テコンドーはその確立から半世紀を経た現在、流派を越えて更に大きく飛躍しようと
しています。
(注:ITFは世界で4派に統括 = 当会の加盟するテコンドー国際組織は韓国に本部があります)

5.比較事項一覧

ITF 比較項目 WTF
国際テコンドー連盟 団体名称 世界テコンドー連盟
武道色が強い 傾向 スポーツ色が強い
前で合わせる空手着などと似た形。
有段者は上着の裾に黒の縁取りが入る。
師範クラスの道着は肩・脚の側面に黒いラインが入る。
道着デザイン 頭から被るプルオーバー形。
師範クラスの道着は肩と脚に3本線が入る。
アプチャ・チルギ(前蹴り)
ヨプチャ・チルギ(横蹴り)
トリョチャギ(回し蹴り)
パンデ・トリョチャギ(後ろ回し蹴り)
ティッチャ・チルギ(後ろ蹴り)
技術名称(一部) アプチャギ(前蹴り)
ヨプチャギ(横蹴り)
トリョチャギ(回し蹴り)
ティフリギ(後ろ回し蹴り)
ティッチャギ(後ろ蹴り)
名称:トゥル
「チョンジ(天地)」
「タングン(檀君)」
「トサン(島山)」
「ウォニョ(元暁)」
「ユルゴク(栗谷)」
「チュングン(重根)」
「テェゲ(退渓)」
「ファラン(花郎)」
「チュンム(忠武)」
「クワンゲ(廣開)」
「ポウン(圃隠)」
「ケベク(階伯)」
「ウィアム(義菴)」
「チュンジャン(忠壮)」
「コダン(高堂)」
「サミル(三一)」
「ユシン(庚信)」
「チェヨン(崔瑩)」
「ヨンゲ(淵蓋)」
「ウルチ(乙支)」
「ムンム(文武)」
「ソサン(西山)」
「セジョン(世宗)」
「トンイル(統一)」
名称:プンセ(品勢)
「太極(1〜8章)」
「八卦(1〜8章)」
「高麗」
「金剛」
「太白」
「平原」
「十進」
「地胎」
「天権」
「漢水」
「一如」
マッソギは手と足に防具(有級者は面着用)を付け、ライトコンタクトによるポイント制で行われ、2分2ラウンド(同ポイント時は延長1分)で獲得したポイント数の高い選手が勝者となります。
競技者のレベルによって、また各大会によってはラウンド数、延長戦の方式に若干差異があります。
 攻撃可能な部分は腰より上で、ポイントは技の難易度に応じて規定されており、上段への蹴りや跳んでからの蹴りや突きのように難易度の高い技ほど高いポイント(最高3ポイント)が与えられます。
なお、手による顔面殴打も認められており、規定上KOはなく、時間いっぱいまで戦われます。
競技ルール  頭にヘッドギア、胴にも防具を着用しフルコンタクトによるポイント制で行われ、3分3ラウンド・インターバル1分(女子は2分3ラウンド・インターバル1分)で、K.O.もしくはポイントによって勝敗を決めます。
大会によっては男子でも2分3ラウンド・インターバル40秒など変更される場合も多々あります。 
 攻撃可能な部分は足を使用する場合腰より上を(顔面も可)、手を使う場合は腰より上で顔面をのぞく部分です。攻撃可能な部分に正確にヒットした場合ポイントがはいり、中段の場合は1ポイント。上段は2ポイントはいります。
【男子の部】
マイクロ級 〜54Kg 未満
ライト級 54Kg〜63Kg 未満
ミドル級 631Kg〜71Kg 未満
ヘビー級 71Kg〜 80Kg未満
ハイパー級 80Kg〜

【女子の部】
マイクロ級 〜52Kg 未満
ライト級 52Kg〜58Kg 未満
ミドル級 58Kg〜63Kg 未満
ヘビー級 63Kg〜 70Kg未満
ハイパー級 70Kg〜
競技階級 【男子の部】
フィン級 〜54Kg 未満
フライ級 54Kg〜58Kg 未満
バンタム級 58Kg〜62Kg 未満
フェザー級 62Kg〜67Kg 未満
ライト級 67Kg〜72Kg 未満
ウェルター級 72Kg〜78Kg 未満
ミドル級 78Kg〜84Kg 未満
ヘビー級 84Kg〜

【女子の部】
フィン級 〜47Kg 未満
フライ級 47Kg〜51Kg 未満
バンタム級 51Kg〜55Kg 未満
フェザー級 55Kg〜59Kg 未満
ライト級 59Kg〜63Kg 未満
ウェルター級 63Kg〜67Kg 未満
ミドル級 67Kg〜72Kg 未満
ヘビー級 72Kg〜
オリンピック競技ではない オリンピック関連 正式種目化
(2000年シドニー、2004年アテネ:正式種目)
花郎(ファラン)
[鉄拳3、4]
ゲームのキャラでは… 金甲煥(キム・カッファン)
[キング・オブ・ファイターズシリーズ]
白頭山(ペク・トーサン)
「鉄拳」
なつきクライシス(ビジネスジャンプ)
真島君すっとばす(少年ジャンプ)
キックスメガミックス(少年ジャンプ)
空手小公子 小日向海流(ヤングマガジン)
漫画での登場実績(※1) 狂四郎2030(スーパージャンプ)
備考

※1・・・使用される技の名称、技術、道衣等により判断。


5.幾多のITF-JAPANについて
テコンドーの世界機構が分割されたことにより、日本のITFも分割されました。
 
 @韓国派(当会所属)
 Aヨーロッパ派
 B北朝鮮派
 Cカナダ派

上記各派は元は一元のITFであり、技の名称、技術、道衣、競技ルールに差異はありません。

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