テコンドーの型(トゥル)


 トゥルとはテコンドーにおける型のことを指す名称で各級、段において習得すべき課題となるトゥルが規定されており、全部で24種類存在します。                    
 トゥルは他の武道の型と同様にテコンドーという武道のエッセンス(技術、理論、精神)を効率的に習得できるように組み立てられた体系であり、攻撃から追撃へ、攻撃から防御へ、防御から反撃へ、防御から防御へ、といった連続動作を一連の流れとして活用できる用に実戦を意識して編纂されたものです。
また、テコンドーで技として規定される動作は使用部位、スタンス、攻撃箇所の組み合わせにより3200種類にも及ぶため、これを一つ一つの個々に習得するよりも複数の動作を一貫した動きの中でまとめて習得できるというメリットもあります。
 特にトゥルの習得において重要な事は各トゥルの一つ一つの攻防動作の意味(どこを攻撃、または防御するのか)を意識し、常に相手が居ると仮想して正確な動作をリズム良く行うという点です。

 トゥルの名称には韓国の歴史上で欠かせない忠国の志士として高名な人物の名前を中心に日付、決意のスローガンといったものが制定されています。トゥルを実践する上で彼らの思想、彼らの目指したもの、彼らが生涯を通して貫こうとした意思、そして行った行為、決意等を知り、認識することでテコンドーがトゥルを通して伝えようとしている精神を楽しく学んで頂けると幸いです。



注:十級習得の動作についてもトゥルに準じるものと判断し、ここに掲載致します。

名称
習得帯色 読み 動作数 修得級 演武線 名称の由来
四柱突き サージュチルギ(saju-jirugi) 7 10級 前後左右の四方に向けての突きによる攻撃を型化した動作。
四柱受け サージュマッキ(saju-makgi) 8 10級 前後左右の四方に向けての受けによる防御を型化した動作。
天地 チョンジ
(chon-ji)
19 9級 東洋において「天地」は、世界の創造あるいは人類の歴史の始まりと解釈されているため、最初に学ぶ型に名づけられた。
檀君 タングン
(dan-gun)
21 8級 紀元前2333年に朝鮮を建国したと伝説上いわれている始祖・檀君(タングン)の名にちなんだ。
島山 トサン
(do-san)
24 7級 日本による植民地支配の時代、その全生涯を朝鮮の教育の向上と独立運動に捧げた、安昌浩(アンチャンホ)の雅号。
元曉 ウォニョ
(won-hyo)
28 6級 西暦686年新羅の王朝に仏教を初めて伝えた高僧、元曉(ウォニョ)大師の名にちなんだ。
栗谷 ユルゴク
(yul-gok)
38 5級 李退渓(リ・テゲ)とともに朝鮮儒学の双璧を成す大儒学者、李珥(リ・イ)のこと。東方の聖人とも呼ばれた彼の字(あざな)である。
重根 チュングン
(joong-gun)
32 4級 朝鮮独立のために闘った民族の英雄、安重根(アン・チュングン)の名にちなんだ。のちに彼は伊藤博文を暗殺し、処刑された。
退渓 テェゲ
(toi-gae)
37 3級 朝鮮儒学の最高峰である李滉(リ・ファン)のこと。李退渓は、彼を尊敬の念をこめて呼ぶ際の別名、字である。
花郎 ファラン
(hwa-rang)
29 2級 新羅王朝時代の、青年貴族の軍団で三国統合の原動力のひとつとなった花朗徒(ファランド)の名にちなんだ。
忠武 チュンム
(choong-moo)
30 1級 豊臣秀吉の侵略軍を粉砕した李朝の海軍提督、李舜臣(リ・スンシン)将軍の諡号(しごう)。
廣開 クワンゲ
(kwang-gae)
39 一段 高句麗王朝最強の王、廣開土王(クワンゲトワン)の名にちなんだ。
圃隠 ポゥン
(po-eun)
36 一段 高麗末期の有名な詩人でもある文臣、鄭夢周(チュン・モンジュ)の雅号。
階伯 ケベク
(ge-baek)
44 一段 百済王朝末期の悲劇の将軍、階伯(ケベク)の名にちなんだ。
義菴 ウィアム
(eui-am)
45 二段 1919年の三一独立運動に際し、独立宣言文に署名した33名の民族代表の筆頭者のひとり、孫秉煕(ソン・ビョンヒ)の雅号。
忠壮 チュンジャン
(choong-jang)
52 二段 15世紀李王朝時代、日本の侵略に決起した非運の義兵隊長、金徳齢(キム・ドンリョン)の雅号。
高堂 コダン
(ko-dan)
45 二段

1919年の三一独立運動に参加後、民族実力養成運動の先頭に立ち朝鮮の教育言論文化事業の発展に尽力しだ晩植(チョ・マンシク)の雅号。

三一 サミル
(sam-il)
33 三段 1919年3月1日に、ソウル・パゴダ公園での独立宣言をきっかけに朝鮮全土を揺るがせた三一独立運動の歴史的な日付を示している。
庚信 ユシン
(yoo-sin)
68 三段 高句麗、百済、新羅の三国時代に終止符を打った新羅の大将軍、金庚信(キム・ユシン)将軍の名にちなんだ。
崔瑩 チェヨン
(choi-yong)
46 三段 高麗王朝末期の武人政治家、チェ・ヨン将軍の名にちなんだ。
淵蓋 ヨンゲ
(yon-gae)
49 四段 高句麗末期の勇猛な将軍、淵蓋蘇文(ユンゲ・ソムン)の名にちなんだ。
乙支 ウルチ
(oul-ji)
42 四段 612年に隋の煬帝に率いられた約百万の隋軍の侵入に対して、高句麗の防衛を果たした乙支文徳(ウルチ・ムンドク)の名にちなんだ。
文武 ムンム
(mong-moo)
61 四段 高句麗、百済、新羅の三国を統合した第30代新羅王文武(ムン・ム)を称えて名づけられた。
西山 ソサン
(so-san)
72 五段 豊臣秀吉の朝鮮侵略に抗して僧侶義兵軍を組織した、李王朝時代の高僧、チェ・ヒョヌンの雅号。
世宗 セジョン
(se-jong)
24 五段 1443年にハングルを編み出すなど、史上最も偉大な王として有名な、世宗(セジョン)の名にちなんだ。
統一 トゥンイル
(tong-il)
56 六段 1945年以来分断されている南北朝鮮の統一の決意をあらわしている。

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